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(1)徹子から電話がありました。今から5、6年前のことです。 「ねええ、ママ、千葉へ行ってきたの」 電話の声(注1)が弾んでいます。きっと何かおもしろいことがあったんだろうと思い、私も「そうだったの」と相槌(注2)を打ちながら、彼女の次の言葉をワクワク(注3)しながら待っています。 [窓から太陽の沈む様子が、この世のものとは思えないほど美しいと評判の旅館があってね。それを見に、10人ぐらいの有志(注4)で出かけたわけ」 ちょっとひと呼吸おいてから、また話しはじめました。 「昼間の間は散歩したり、みんなで楽しく遊んでね、そろそろ時間になったわけ。①さあ、時間だ! というので、みんなで窓のそばに座り、固唾(注5)をのんで待ってたの。"ホラ、沈むわよ" "ウワーッ、すごい" "この偉大な夕日にかなう(注6)も のはこの世には何もない"なんて口々に言いながら、あまりの素晴らしさに胸打たれて、最後はもう、みんな声も出なくなっちゃったほどだったのね。そのとき 突然私が言ったのよ」 「あら、何て言ったのよ」 もうここまでくると②好奇心(注7)剥き出しです。 「ここで雑魚寝(注8)して、明日の朝、また太陽が出るのを見ない?って。一瞬みんな私の言葉が理解できなくて、その後一斉に後ろに引っくり返ったのよ。畳の部屋でほんとよかったわ」 私には、なぜみんなが引っくり返ったのかが理解できません。 「あら、どうして③それがおかしいわけ。あなた何も間違ったこと言ってないじゃないの」 (中略) 「やっぱりママもそうなんだ。( ④ )。ね、わかった? 「あっ、そうだわ。太陽は東から昇って西に沈むんだものね」 ようやく私も納得。 (黒柳朝『トットちゃんと私』による) (注1)声が弾む:普段とは違う、うれしそうな声の調子になる (注2)相槌を打つ:人の話を聞きながら、「はい」「ええ」などと昌って調子を合わせる (注3)ワクワクしながら:期待しながら (注4)有志:あることに関心を持ち、一緒に何かをしようとしている人 (注5)固唾をのむ1どうなるかと緊張しながら見守る (注6)~にかなう:~と同じくらいすばらしい (注7)好奇心:珍しい物事に対する興昧や関心 (注8)雑魚寝:狭い場所でおおぜいの入が一緒に寝ること
①「さあ、時間だ!」とあるが、何の時間か。
ここで②「好奇心」を持ったのはだれか。
③「それ」は何を指すか。
(④)に入る最も適当なものはどれか。
①子供の授業参観(注)に行って驚いたことが あります。先生が、ある問題について「どう思いますか」と質問すると、生徒たちが手をあげ、指された生徒が答えた。次に、「ほかの人は」と先生がきくと、 またみんなが手をあげ、別のだれかを先生が指します。すると、その生徒がさっきの生徒と同じことを答えたのです。そうやって次々に何人もの生徒がみんな同 じ答えをしました。これには私、びっくりしました。同じ答えならいわなくてもいいのにと思うのですが、先生は②それを期待しておられるようでした。むしろ、別の答えが出てくると困ってしまうのかもしれません。 しかし、無理しても別な答えを出すこと、あるいは人と同じことはいわないことが、大事だと私は思います。クラスが40人いたら40通りの答えがあるべきで す。先生には、「(③)」と聞いてほしかった。そして、もし出てきた別の答えが間違っていても、それはおもしろいね、とまずほめて、しかし、ここの部分は 考え直してみたらどうでしょうとか、ここに無理があるかもしれないと、言っていただけたらと思いましたね。 (山本毅雄「21世紀の本の読み方による) (注)授業参観: 教室に入って授業を見学すること
①「子供の授業参観に行って驚いたこと」とあるが、筆者は何に驚いたのか。
②「それ」は何を指すか。
(③)に入る最も適当なものはどれか。
筆者は学校の先生にとうしてほしいと思っているか。
私 たちはどんな時に悩むのだろう。就職を決める時、A社にするかB社にするかで悩む。今交際している彼女と結婚するべきかどうかで悩む。つまり何かの選択場 面、決定場面に立たされた時に悩むのである。しかし、若者たちは選ぶことができない。いやその前にそもそも(注1)選ぼうとしていない。選ぶ意志がないの である。 ある調査によると、今の若者のうち「どの会杜に就職するか」を「自分で決める」のはわずか18パーセント。約5割(注2)が「父・母・友だちの意見で決める」と答えている。「なるようになる」と答えた者も、約3割いる(筒井俊介、修士論文)。 ( ① )驚きなのは「恋人」を「自分で選ぶ」若者が、わずか29パーセントであること。「なるようになる」が4割で一番多い。おそらく合コン(注3)か何かでたまたま隣にいた人と、何となくつきあい始めるケース(注4)が多いのだろう。 「今つきあっている恋人と結婚するかどうか」を「自分で決める」若者はさらに少ない(22パーセント)。約2割が母の意見、約2割が友だちの意見で決めると答えている。 これでは、悩みが生じないのも当然である。 就職と結婚は、人生の二大イヴェント(注5)。よい配偶者(注6)に恵まれて、自分を生かせる(注7)仕事に就く。これが今も昔も、幸福の二大条件であ る。この二つを自分で選ばないのなら、たしかに大した悩みも葛藤(注8)も生まれてこないだろう。しかしそれで果たして、自分の人生を生きていると言える だろうか。 けれど、②それが今の若者の「当たり前」なのである。 (諸富祥彦「〈むなしさ〉の心理学----なぜ満たされないのか」による) (注1)そもそも:はじめから (注2)~割:1割は10% (注3)合コン:独身の男女が出会いの場として開く集まり (注4)ケース:;場合 (注5)イヴェント:行事 (注6)配偶者:夫、または妻 (注7)生かす:よさ、能力を十分に引き出して使う (注8)葛藤:反対の二つの気持ちの聞でどうしようかと悩むこと
(①)に入る最も適当なものは何か。
この文章中の調査によると、若者は恋人や結婚相手をどのように決定しているか。
良薬は口に苦。 | Thuốc đắng dã tật.