先日、友人を訪ねて岐阜に行きました。待ち合わせの時間まで少し時間があったので古い和傘の店があったので入ってみると、「いらっしゃいませ」と元気な声で店の主人が迎えてくれました。
和傘作りは江戸時代から続く技術で、明治時代まではどこの町にも必ず1人や2人職人(注)がいたそうです。しかし、日本に西洋文化が入ってくると、今私たちが日頃使っているような、作るのも簡単で値段も安い洋傘がいっきに全国に広まりました。
今年の79歳になる主人の加藤さんはいま、各県に1人か2人いるかいないかという和傘職人(注)の1人です。和傘づくりをやめようと思ったことがあります。そんなある日、たまたま店の前を通りかかった外国のお客さんが「和傘は日本人の性格をとてもよくあらわしているね」と言ったのを聞いて、(1)「ああ、やめちゃだめだ」と、考え直したそうです。
加藤さんは、「まだまだ元気だから、あと10年は大丈夫。」と笑顔を見せてくれましたが、わたしはとてもさびしい気持ちになりました。
(注)職人:身につけた技術によって物を作り出したりする職業の人。